オーストラリアで暮らすようになってから、以前より耳にするようになった言葉があります。
First love yourself. Me time.
まず自分を大切にすること。自分だけのために使う時間を持つこと。
特に私が印象に残ったのは、子育てをしている人たちの間でも、こういう言葉が自然に出てくることでした。むしろ、子育てをしているからこそ、「自分の時間も必要だよ」という話になる。
最初から私自身が「セルフラブについて学びたい」と思っていたわけではありません。周囲から何度も聞こえてくる言葉に、あるとき引っかかったんです。
自分を大切にするって、一体どういうことなんだろう。
そこから少しずつ、自分でも調べるようになりました。
自分を大切にすることと、わがままは何が違うんだろう
私が最初によく分からなかったのが、ここでした。
自分を優先する。自分のために時間を使う。自分が嫌なことにNOと言う。
それって、自分勝手になることとは何が違うんだろう。
特に子どもが小さかった頃の私は、子どもを先にする。自分は後にする。自分が我慢する。自分の時間を削る。
どこかに、そうすることが、子どもへの愛情なんじゃないかという感覚がありました。
誰かにはっきりそう言われたわけではありません。でも、自分の中には「自己犠牲=愛情」のような感覚が、思っていた以上に深く残っていたんだと思います。
だから、「Me timeを持つ」と言われても、最初はそんなに簡単ではありませんでした。時間を取ればいいという問題でもなかったんです。
一人で出かけても、「子どもは大丈夫かな」と気になる。自分のために何かをすると、「こんなことしていていいのかな」と思う。自分のことを先に考えると、どこかに小さな罪悪感が出てくる。
頭では、「自分の時間を持ったからといって、子どもへの愛情が減るわけじゃない」と分かります。
でも、長く持っていた感覚を上書きしていくことには、私の場合かなり時間がかかりました。
自分を大切にしても、誰かへの愛情は減らなかった
これは今なら分かります。
自分の時間を取ったからといって、子どもを愛さなくなるわけではありません。自分がやりたいことをしたからといって、子どもへの関心がなくなるわけでもない。疲れているときに休んだからといって、母親をやめるわけでもない。
自分と子どもの間に境界線を持つことも、「もうあなたのことは知りません」という意味ではない。
それでも、私にとってはこの感覚を腑に落とすことが簡単ではありませんでした。
長い間、「誰かを大切にすること」と「自分を後にすること」が、かなり近い場所にあったからだと思います。
そして気づけば、「私はどうしたい?」という問いそのものを、あまり自分に向けなくなっていました。
子どもはどうしたい?
家族にとって何がいい?
今、何をしなければいけない?
そういうことは毎日のように考える。
でも、「私はどうしたい?」と聞かれると、意外と答えられない。
「自分軸で生きる」という言葉を聞いても、そもそも自分軸って何なんだろう。
私はそんなところからでした。
「自分を大切にする」を、もっと小さくしてみた
自分を大切にする。セルフラブ。
言葉にすると、少し大きく聞こえます。
自分のことを心から好きになる。自信を持つ。人生を大きく変える。何か特別なことを自分のためにする。
以前の私は、そんなイメージも持っていたのかもしれません。
でも今は、もっと小さなことから始まるのではないかと思っています。
私は何が好き?
何をしているとき、少し幸せ?
今日は何を食べたい?
一人で30分過ごせるなら、何をしたい?
本当は今、疲れていない?
それくらいのことです。
昔好きだったものを思い出してみる。そして、「今もこれが好き?」と自分に聞いてみる。
誰かが喜ぶからではなく、自分が食べたいものを選ぶ。
疲れていることに気づいたら、少し休む。
何もしたくない日に、「今日は何もできなかった」ではなく、「今日は疲れていたんだな」と見る。
誰かのためではなく、自分が「これをやってみたい」と思ったことに少し時間を使う。
そういう小さなところに、自分を大切にするということがあるのではないかと思うようになりました。
自分を人生の人数に入れる
子どもがいると、子どもの人生について考える時間はたくさんあります。
学校。友達。進路。将来。何がこの子にとっていいのか。どうしたら幸せに生きていけるのか。
家族のことも考えます。夫のこと。親のこと。仕事のこと。日々の生活のこと。
そうやって誰かのことを考える時間が増えていく中で、自分のことを考える時間が少なくなっていた。
だからといって、これからは家族より自分を優先しよう、という話ではないんです。
私にとって大きかったのは、自分も一人分として、その中に入れるという考え方でした。
子どもを大切にする。家族も大切にする。そして、自分も大切にする。
誰かを大切にするために、自分を人数から外さなくてもいい。
今振り返ると、とてもシンプルです。でも私は、それが分かるまでにずいぶん時間がかかりました。
誰かの人生のサポート役だけではなく
母になってから、私は長い間、誰かを支える側にいました。
それ自体を否定したいわけではありません。子どもを育ててきた時間も、家族を大切にしてきた時間も、私の人生です。
でも、それと同時に、私自身も、自分の人生を生きている一人の人間だった。
そこをもう一度思い出す必要がありました。
誰かの人生のサポート役だけではなく、私が主語の人生もある。
「子どもが」「夫が」「家族が」のあとに、「じゃあ、私は?」を置いてみる。
自分を大切にするということを考え始めたことは、私にとって、自分を、自分の人生の主人公に戻していくことを考える入口でもありました。
このジャーナルの最初に「セルフラブ」を置いた理由
『心を育てる90日ジャーナル』を作ったとき、最初に置いたテーマも「セルフラブ」でした。
でも、このジャーナルで伝えたかったのは、「もっと自分を好きになろう」ということではありません。
疲れていたら、少し休む。
つらいときは「つらい」と認める。
困ったときは、誰かに助けを求める。
本当はしたくないことに、「今はできない」と伝える。
自分の気持ちに気づくことと、誰かを大切にしないことは別。
誰かに心を配るのと同じように、自分にも心を配る。
私がこのジャーナルで「セルフラブ」と呼んでいるのは、そういうことです。
だから最初のワークにも、「心が満たされること」「自分のからだで好きなところ」「人と違っていても、自分らしくて好きなところ」「周りの人に向けるやさしさを、自分にも向けられている?」という問いを入れています。
これは、「自分のいいところをたくさん見つけなければ」というワークではありません。
今の自分は何を感じているのか。何が好きなのか。何が心地いいのか。何がしんどいのか。
まず、自分のことを自分が知る。
そこから始めたかったんです。
自分を大切にすることに、完成形があるのかは分かりません。私自身も、今もその途中です。
でも、
「私はどうしたい?」
「私は今、どう感じている?」
と、自分に聞くことはできる。
誰かに向けてきた関心を、ほんの少し自分にも向けてみる。
私にとってのセルフラブは、そんなところから始まっています。
Kaori
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海外で暮らし、人生の転機にいる女性へ。
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このブログでは、海外生活や人生の転機から生まれた気づきと問いを綴ります。苦しさや迷いを否定せず、答えを急がずに。あなた自身の意味を、あなたのペースで見つけていく小さなきっかけになれたら嬉しいです。
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